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1996年3月24日付けのトロントスター紙にリアさんの死亡記事を見つけて、「とうとう、この日が...」と茫然としてしまいました。リアさんといえば、モンゴメリの短編集の編者として活躍されていた方です。また、彼女はアンシリーズの引用出典を明らかにした" L.M. Montgomery's use of quotations and allusions in the 'Anne' books" を出すなど意欲的なモンゴメリ研究者のひとりでした。本当に残念なことに、彼女は3月22日(金曜日)に癌のため54才の若さでこの世を去りました。日本では、モンゴメリの短編集「アンの仲間たち」、「渚の求婚」などの編者としてリアさんの名前を知っておられる方も多いと思います。 リアさんを見舞ったことのある友人が、「病床のリアさんは、次に出版するモンゴメリ短編集の題名(Aで始まる題名ばかり)をたくさん考え出し、"まだまだ世に出すモードの作品がいっぱいあるのよ" とにこにこしていた」と語ってくれたのは2月の末のことでした。再発した癌と闘いながらも、6月末に予定されているプリンスエドワード島大学にて行われるモンゴメリ学会への出席を希望していたリアさん。 彼女の遺作ともいえる最新のモンゴメリ短編集は、北米で昨年11月に出版された"Christmas with Anne"。リアさんが病床にてサインしてくださったその本が、今、私の手元にあります。その前書きの一部をご紹介しましょう。
「それは1977年のことでした。プリンスエドワード島のクリフトンにあるモンゴメリの生家で、埋もれていた彼女の作品の12冊ものスクラップブックを発見した私は、胸が高鳴りました。以前からずっとモンゴメリのファンで、彼女の書いた作品は私自身すべて読んでいたと思っていました。しかし、ここで発見した作品は、今迄目にしたことがなかったものばかり!まるで、真夏に訪れたクリスマスのような出来事でした。それからというもの数年間、私はそれらのスクラップブックを写し取り、それら作品が発表された雑誌名とその発表年代を入手しながら、作品の目録編集をしている間に、モンゴメリがスクラップブックに入れていなかった彼女の他の作品をも見つけだしたのです。それから、モンゴメリのご子息であるスチュワート マクドナルド博士から、かつて出版された全ての作品名をモンゴメリ自身が記載したリストをいただいたのです。これによって、もっと数多くの作品の題名がわかりました。私は、それらの作品をみつけようと努めました。3年間もの労力の末、ついに、私は500以上にものぼる作品リストを手にしていたのでした。」 今でこそ、モンゴメリの生家には、彼女のスクラップブックが展示されていますが、リアさんが発見した当時は、鼠よけの丸薬に囲まれた厚紙の箱にいれられたままでした。トロントスター紙の記事によると、リアさんの長年のパートナーでトロント大学英文学準教授でもあるシルバー氏は、彼女は発見した作品に「心を奪われたのです。」と語り、リアさんが編集したモンゴメリの短編集を読んだ世界中のモンゴメリファンから感謝の便りが届いたそうです。「日本、スリランカ、デンマーク、ニュージーランドのモンゴメリファンクラブから、宝物をみつけだしてくれたことに感謝する手紙がリアに送られてきました。」とシルバー氏。 もし、リアさんが、これら多くのモンゴメリ作品を見つけださなかったら、また、時間をかけて編集出版されなかったら..... 現在8冊のモンゴメリ短編集がリアさんの編纂によって出版されています。日本でもおそらく今後翻訳されて出されることでしょう。 亡くなる直前にリアさんは、こう語ったそうです。「大好きなモンゴメリの作品に出会えて、やるだけのことをやって、人生に何も悔いは残っていないわ。」 リアさんが逝かれた日、彼女の勤めていたトロント大学には、半旗が静かに翻ったのでした。 上記文章は、「Buttercups通信」1996年第110号に掲載されたものに加筆したものです。ところで、日本ではReaさんのお名前を「リー」と表記していますが、カナダ人友人達は皆「リア」と呼んでいますので、ここではそう表記しています。) 追記:病床のリアさんのお宅へモンゴメリ学会資料を持って訪ねたことがありました。風の冷たい2月のはじめのことです。彼女とはインターフォンで少し話した程度ですが、あたたかみのある声でした。玄関に出てこられたシルヴァー氏は看護疲れを見せるどころか、笑顔で私に語りかけてくださいました。リアさんのご冥福を祈らずにはいられません。 |
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