A Montgomery Christmas in Norval 97

ルーシー モード モンゴメリ(1874ー1942)が1926年から35年まで住んでいた町ノーヴァルでは、例年「モンゴメリクリスマス」と題してさまざまな催しが行われている。

今年は、11月29日の土曜日と30日の日曜日。私たちは29日に町を訪ねることにした。

モードの作品をひとつも読んだことのないジェイソンとモード関連の雑誌編集者アレキザンドラとともに一路ノーヴァルへ。過去数回冬のノーヴァルを訪れているが、この日は稀に見る快晴に恵まれ、「ラッキーだねー」と一同にこやか。

「雨の中、泥にまみれて町を歩くのはいやだものね」とアレキザンドラ。(実は右足首を骨折したばかりで、この日は松葉杖のお世話になっていた。)
「モンゴメリの住んでた頃は舗装されてなくって、もっと大変だったろうねー」と我らがおかかえ運転手ジェイソン。彼は道を間違えたものの平気のへいざであった。

まずは、モード一家が暮らした牧師館。高速7号線に面した大きなレンガ造りの長老派教会敷地内にどっしりと建っている。牧師館は1888年に建てられたと地元のボランティアのおばさんが言っていた(ある歴史資料には1878年建築とある)。現在も長老派教会所有で、牧師さん一家が住んでいる。今日は特別一般公開とあって、近郊都市からやってきたモードファンがいっぱい。モードが執筆した2階の部屋の窓からは、彼女が好んだ松林が望めた。

一階のパーラーにて午後のお茶のサーヴィスがあった。私たちはルエラさん(Luella Macdonald Veijalainen)のいたテーブルについた。彼女はモードの長男チェスターの長女で、モードの初孫にあたる。彼女もオンタリオ州各地で催される「アン」やモンゴメリ関連の催しによく出席されるので、私たちとは顔なじみ。(アレキザンドラがルエラへインタビューした記事はThe Avonlea Traditions Chronicleの1997年秋号に載っている。)

お茶のあと長老派教会地下室でのバザーや近所のギフトショップなどにも足を延ばしてショッピング。歩きながらルエラさんが、ノーヴァルでの子ども時代を語ってくれた。母方の祖父は農業に従事していて、ルエラさんは11歳になるころまで夏休みは農場で過ごしていた。Hay(干し草)を高く高く摘みあげた荷馬車を駆って走ったという。それなのに11歳のころ急にヘイの高さが恐くて荷馬車から降りられなくなって、とうとう手伝いに行かなくなったとか。「あれが最後の夏だった」と高らかに笑うルエラさん。

彼女は、いつも帽子をかぶっているおしゃれな女性。今日は深いブルーの帽子だ。
「幼い頃から帽子は好きだったわね。10代の頃、友達とおめかししてトロントの映画館に出掛けたことがあるんだけど、その頃、6時を過ぎたら帽子をかぶってはならないという迷信を信じていてね。友達と映画を観ている最中に6時を過ぎてることがわかって、慌てて帽子を脱いだの。おかしいわね」とルエラさん。映画は大好きとのこと。最近観た中では、"Shall We ダンス?"がすごく良かったと微笑む。父親チェスターに面立ちが似ているルエラさんは、とっても気さくだ。

早めの夕食は、町はずれのCrawfords Village Bakeryで。ここはモンゴメリの手書きレセピ帳が代々伝わるおしゃれなデリカテッセン。モードのクリスマスケーキをはじめ、チョコレート、クッキー、焼き立てパンやジャムなどおいしそうなものばかり。
「モードおばさん」のレセピを受け継いだのは、Marion Lairdと彼女の娘Elaine Crawfordさん。Marionさんは、モードのいとこにあたるグリーンゲイブルズに住んでいたWebb家の娘で、のちにノーヴァルへ越してきて結婚された。

モンゴメリは、晩年自分の手書きレセピをWebb家、Macneill家、Campbell家、Montgomery家それぞれに残すため写し書きしていたという。Webb家に残されたものは、昨年"Aunt Maud's Recipe Book"というタイトルでElaine Crawfordさんと娘のKellyさんの手によって出版されている。このレセピをもとに作られたデザートのニュームーンプディングは、ふんわりさっぱりしていて、それでも甘味があって、とってもおいしかった。(モードが1927年6月25日のジャーナルに書いているニュームーンプディングの分量を現代風にアレンジしてある。例えば、オリジナルでは3分の2カップの砂糖を3分の1カップに抑えてあるなど。モードが食べていたのは相当甘いだろうなー。)

夜7時からは、"The Anne of Green Gables Treasury" 及び"The Anne of Green Gables Christmas Treasury" の執筆者Carolyn Storom Collinsさんの講演があった。"To Remember and Be Remembered"と題するお話は、モードの残したスクラップブックスをモードの日記と関連付けての説明で、豊富な写真資料がとても興味深い。あんなに嫌っていたはずのマスタード氏から贈られたカードもスクラップブックには貼ってあったのは、なんだかおかしい。愛猫の毛や初めてのオペラのチケットなどはモードの生活ぶりや時代を偲ばせる。いくつかの質問にキャロリンさんは親切に応えてくださった。彼女はこれまで2度プリンスエドワード島大学でのモンゴメリ国際学会でも発表されている。

ルエラやキャロリンさんをはじめ、この日出会った皆さんに別れを告げてトロントに戻ってきたのは夜9時すぎ。松葉杖のアレキザンドラは少々疲労感を漂わせながらも「楽しかったねー」とにっこにこ。義務感から開放された運転手ジェイソンは勿論ごきげんであった。

夜も明けて今日は30日。
L.M.モンゴメリへ、123回目のお誕生日おめでとう。

(1997年11月30日 記)

Yukazine

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