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晩年のモンゴメリーと少女の交流を描いたノン・フィクション 「旅路の果て、モンゴメリーの庭で」
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この本の帯の文章が、内容を適格に表わしている。「人生の入口で最初の試練を迎えた少女とその出口で苦悩する老婦人との、魂の出会い。」 「老婦人」とは、「赤毛のアン」の作者L.M.モンゴメリー。舞台は、彼女の終焉の地トロントの「旅路の果 て荘」、そうして世相は第二次大戦の最中であり、モンゴメリが死を迎える直前のお話。 主人公の少女ローラは、学校が休みの間、ロッキーフォールズの田舎から、トロントの祖父の家で過ごすことになった。従軍医師の父は既に英国へ、母は地元の軍需工場に勤める忙しい日々だ。 プリンスエドワード島出身のやさしいは祖父は、幼き日のモンゴメリーのことを知っている。そうして、祖父の家の向かいに住む老婦人が、まさにその人であると教えてくれる。モンゴメリーの作品に親しんでいたローラは、人付き合いを避けて静かに暮らしているというその老婦人と知り合い、しだいに交流を深めていく。モンゴメリーの知られざる晩年の私生活が、ローラの目を通 して、丁寧に描かれている。 トロント住まいの作家メアリー・フランシス・コーディは、現在、大学でクリエイティブ・ライティングも教えている。この作品のために、モンゴメリーに関する書籍や彼女の日誌などを読み、理解を深めた。そのため、本書はノン・フィクションながら、モンゴメリーの言葉や行動など、日誌に著されているエピソードがそのまま登場している。事実に基づいたと思われる部分と、コーディさんの想像の部分とが、微妙に絡みあった興味深い小説だ。 実際、晩年のモンゴメリーは、暗澹たる日々を送っていたという。病気の夫の世話にあけくれ、息子が兵役を課されるのではという危惧に加えて、自らの体力の衰えから執筆する意欲さへ失っていた。そんな時、若々しい光りをもたらすローラのような少女が身近に現れていたら! 作家モンゴメリーは、お気に入りの自作「ストーリー・ガール」のなかで、主人公にこう言わせている。「私、本当のことって二通 りあると思うわ。本当にあった本当のことと、本当にはなかったけれど、あってもよかった本当のことと。」 コーディさんのノン・フィクション「旅路の果て、モンゴメリーの庭で」は、「あってもよかった本当のこと」なのかもしれない。 |
copyright Yuka Kajihara 2000