Shelley Tanakaさんの簡略版アンを読んで

Anne of Green Gables

by L.M. Montgomery
Adapted by Shelley Tanaka
ISBN 0-7704-2744-8
Seal Books, 1998

原作Anne of Green Gables は一般的に「児童文学作品」という範疇におさめられているけれど、おとなも十分に楽しめる作品だ。児童向け作品で名作だとか古典といわれるものこそ、内容が濃く幅広い年齢層に親しまれている。

「幼い時にアンシリーズを読んだけど、実際内容はあんまりわかってなかった。アンが明るくて、いろいろ問題起こしたのを楽しんだのね。大人になって読み返して、こんなに深い小説だったとは!」というカナダ人が結構いる。「話が長いから、はしょりながら読んだけど、アンがはちゃめちゃで面白かったのを覚えている」という人もいた。英語圏で生まれ育っても、年少の読者にとって、モンゴメリの文章はなかなか手強いものだ。

というわけで、「赤毛のアン」は名作につきものの、短縮版というか改訂版というか、つまりretold 版が出回るわけだけれど、基本的にこういった簡略版はおもしろくない。こども向けに、編集者がやけに気をいれて縮小したり、シュガーコーティングしている場合があるせいだ。

いろいろ探してみて、一押しなのが、Shelley Tanakaさんの版。原作にある全38章を一気に半分の18章にしたのは、あっぱれ。モンゴメリの語彙をなるべく活かそうとしている点が好意をもてる。英語に興味をもっている英語圏外の若者に(特に英語を学び始めた学生さんたちに)このShelley Tanakaさんのリトールド版をお薦めしたい。

しかし、たとえ難解な箇所はすっとばしても、読者はそれなりに作品の真髄をかぎとるものである。できれば原書で、モンゴメリの原文でアンに知り合って欲しい。Retold 版はあくまでも「アンの世界」への入り口にしかすぎないのであります。

(1999年5月末 記)

Yukazine

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