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あれは忘れもしない5月23日の朝、出勤前の9時。電子メールでも届いてるかなとコンピュータをオンにしてみてびっくり。スイス在住の友人ジェフから「今朝4時頃、あのグリーンゲイブルズから出火。火事の原因は不明」とのショッキングなニュースがはいっていた。早速、インターネットを利用してhttp://www.canoe.caにアクセスしてみる。ついでにCBCのページもチェック。内容は、ジェフの文面と大差ないことを確認した。 グリーンゲイブルズは、カナダはプリンスエドワード島のキャベンディッシュ国定公園内にある観光名所。ヴィクトリア朝の面影を残す、シングル材の2階建ての家で、ここには以前「赤毛のアン」の作者L.M.モンゴメリの親戚が住んでいた。モンゴメリは、この家を舞台にアンシリーズを執筆したのである。その後、グリーンゲイブルズの内装は「赤毛のアン」の描写通りに復元され、1937年以来一般公開されている。世界中のアン崇拝者にとって、グリーンゲイブルズは、神社や教会と同じくらい神聖な建物だ。毎年、春夏を通じて何十万もの観光客で賑わっている。その家が、火事に見舞われたとは! モンゴメリ関連追求家(?)の私としては、とにかく、日本の友達に火事のことを知らせようと、ジェフの電子メールを数十人に転送。こういうとき、電子メールって楽だわ。ほんと。 この日の午後は、職場の同僚の間でもこの火事のニュースばかり話題になっていた。会う人ごとに「アンの家、焼けたんですってね。気をおとさないでね」と慰められた私。 その夜は、テレビのニュースでも焼けた内部の映像が映しだされていた。一階の「マシューの部屋」から出火し、火は2階にも及んだこと。見るかげもなく黒く焼けただれた内部。原因はいまだに不明。1800点あまりの展示品や家具調度品が焼けたり、消火水のためにダメージを受けたことなどが発表されていた。修復にかかる日程や費用は明らかではないが、早ければ9月には再オープンの見通しとのことだった。観光シーズン中の7、8月に閉館とは、地元の人々にとっては、かなりの痛手だろう。 ところで、テレビのニュースよりも各地の友人から転送されてくる新聞記事掲載の電子メールが役立った。モンゴメリ愛用のタイプライターは修繕に出されていて無事だったとか、現地では「マシューの煙草が原因」とかの冗談もでているとか(マシューは「赤毛のアン」の登場人物のひとり。もちろん実在しません)。普段読むことのないNew
Brunswick Newsの記事には、第一発見者の声も載っていて、かなり詳しく記されていた。こういう地方紙をスクリーン上で読むことができたのは何よりだ。 更に感激したのは、この日の朝私が転送した情報が、午後には既に日本プリンスエドワード島協会のウエッブページに紹介されており、そのうえ最新情報が刻々と付加されていたこと。また、友人のウエッブページには、グリーンゲイブルズ外装部および内部の黒焦げ写真も大きく載せられていた。この対応の早さ!聞くところによると彼らの対応は、日本の大手新聞の報道より早かったとか。 情報が早く伝わるということは、それへの対応も早いようだ。プリンスエドワード島大学モンゴメリ協会のアンナ マクドナルドさんによると、既にいくつもの団体や個人から電子メールが届き、その中には、グリーンゲイブルズ修復費用の寄付申し出もあるという。世界中のアンやモンゴメリ ファンの層の厚さを垣間見たグリーンゲイブルズの火事騒動。アンの惨事は、あっという問にインターネットを駆け巡ったのであった。 ところで、この日あまりに「火事」とばかりタイプしたせいか、翌日自分の名前をタイプしたら、梶原ならぬ「火事原」と変換されて出てきた。コンピュータって偉大だなーとつくづく感心している今日この頃であります。 (1997年5月25日 記) (この小文は、「オーロラ」1997年夏号に掲載されたものです。) |
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